「今年こそ、英語の勉強をしよう」 「副業のアイデア、ずっとメモ帳に眠ってるな…」 「このオンライン講座、いつかやろうとブックマークしたままだ」
何かを始めたい。変わらなきゃ、と思っている。でも、なぜか身体が動かない。ソファから立ち上がれない。気づけばスマホを片手に、また1時間、2時間…。
「ああ、なんて自分は意志が弱いんだ…」
そうやって自分を責めていませんか?
もしそうだとしたら、少しだけ聞いてください。その「動けない」原因は、あなたの意志の弱さや、やる気のなさではないかもしれません。
もしかしたら、あなたは「情報デブ」になっているだけなのかもしれません。
口に入れるものには気を使うのに、頭に入れるものは気にしないの?
私たちは、食べるものには気を使います。「カロリーが高い」「栄養バランスが悪い」そう言って、ジャンクフードを避ける日もあるでしょう。
では、**頭に入れる「情報」**についてはどうでしょうか?
朝起きてから夜眠るまで、私たちは膨大な情報のシャワーを浴び続けています。SNSのタイムライン、無数のニュースサイト、次から次へと表示される動画、鳴り止まない通知…。
これらは、いわば**「脳のジャンクフード」**です。手軽で、刺激的で、次々と欲しくなる。でも、そのほとんどは栄養にならず、むしろあなたの心と体を蝕んでいきます。
食べ過ぎれば体が重くなるように、情報を浴びすぎると、脳が疲れ果て、心が動かなくなってしまう。これが、情報過多社会が引き起こす**「情報デブ」**の状態です。
あなたが「動けない」3つの科学的な理由
あなたが感じている停滞感は、気のせいではありません。情報過多が引き起こす、科学的根拠のある「副作用」なのです。
1. 決断疲れ(決定麻痺)
「AとB、どっちがいいかな…」と悩むのは、意外とエネルギーを使います。スーパーのジャム売り場で、種類が多すぎると逆に何も買えなくなる「ジャムの法則」という有名な心理実験があります。
現代社会は、まさに巨大なジャム売り場。 「英語の勉強法」と検索すれば、アプリ、教材、英会話スクール、YouTubeチャンネル…無限の選択肢が現れます。多すぎる選択肢は、私たちの脳の処理能力を超え、「もう選べない…」と決断そのものを放棄させてしまうのです。これが、最初の一歩を踏み出せない大きな原因です。
2. 脳のオーバーヒート(脳疲労)
パソコンでタブを大量に開くと、動作が重くなりますよね?私たちの脳も同じです。
次から次へと流れてくる情報を処理するために、脳は常にフル稼働状態。特に、スマホの短い動画や次々と更新されるSNSは、脳の前頭前野を絶え間なく刺激し続けます。
その結果、脳は慢性的な疲労状態に陥り、集中力や思考力、記憶力が著しく低下します。何もしていないのに疲れている、頭にモヤがかかった感じがするなら、それは脳がオーバーヒートしているサインです。
3. 「知ってるつもり」の落とし穴
情報を集めていると、まるで自分が行動しているかのような錯覚に陥ります。
- 筋トレ動画をたくさん見て、**「トレーニングした気」**になる。
- 副業の成功体験を読み漁って、**「稼いだ気」**になる。
- 勉強法の記事をブックマークして、**「賢くなった気」**になる。
情報を集める「インプット」は、行動するための準備にすぎません。しかし、情報が多すぎると、この**「インプット」だけで満足してしまう**のです。知識だけが溜まっていく「情報デブ」の状態では、いつまでたっても現実は変わりません。
あなたを沼に引きずり込む「見えない仕組み」
さらに厄介なのは、この情報過多の環境が、巧みなビジネスモデルによって作られているという事実です。
SNSや動画プラットフォームは、**「アテンション・エコノミー(注目経済)」**の主戦場。そこでは、あなたの「注目」や「時間」が商品です。
彼らは、あなたが1秒でも長くアプリに留まるように、アルゴリズムを最適化しています。あなたの興味関心を分析し、あなたが好みそうな情報を次々と差し出す。これは、あなたが自分の意思で情報を選んでいるのではなく、**アルゴリズムに「選ばされている」**状態です。
気づけば、同じような意見や情報ばかりが目に入る**「フィルターバブル」**の中に閉じ込められ、思考は偏り、新しい行動を起こすきっかけを失っていきます。
「情報デブ」から抜け出す、今日からできる3つのステップ
では、どうすればこの情報の波から抜け出し、本当の「一歩」を踏み出せるのでしょうか? 特別なトレーニングは必要ありません。今日からできる、小さな習慣から始めましょう。
ステップ1:情報断食(デジタル・デトックス)
まずは、脳を休ませる時間を作りましょう。
- 寝る前1時間はスマホを触らない。 ブルーライトを避け、睡眠の質を上げるだけでも、翌日の集中力は大きく変わります。
- 不要な通知はすべてオフにする。 あなたの時間を奪う「お知らせ」は、本当に必要ですか?
- 食事中はスマホを置く。 目の前の食事を味わうことに集中してみましょう。
いきなり全てをやる必要はありません。まずは一つ、試してみてください。驚くほど頭がスッキリするはずです。
ステップ2:「インプット」より「アウトプット」を意識する
知識を詰め込むのをやめて、小さな「行動」を始めてみましょう。
- 勉強法の本を1冊読んだら、新しい本を探すのではなく、その中の一つの方法を1週間試してみる。
- プログラミングのチュートリアル動画を1本見たら、同じコードを自分で書いてみる。
- 副業のアイデアを思いついたら、誰かに話す、関連する人に連絡を取るなど、小さな「外に出す」行動をしてみる。
アウトプットの鍵は**「完璧を目指さないこと」**。60点でいい、いや30点でいいから、とにかくやってみる。行動することでしか、本当の学びは得られません。
ステップ3:「なぜ?」と問いかける癖をつける
最後に、情報を受け取る際の「フィルター」を自分の中に作りましょう。 何か情報に触れたとき、心の中でこう問いかけてみてください。
- 「で、私の行動にどう繋がるの?」
- 「これは『事実』?それとも誰かの『意見』?」
- 「この情報を、私は何のために見ているんだっけ?」
この「なぜ?」という問いが、あなたを情報の受け手から、情報を主体的に選ぶ側へと変えてくれます。
最後に:あなたの人生の主人公は、あなただ
私たちは、知らず知らずのうちに、情報の波に人生の舵取りを任せてしまっています。 「動けない」のは、あなたがダメだからではありません。ただ、少しだけ情報で「お腹いっぱい」になっていただけなのです。
この記事を読み終えたら、そっとスマホを閉じてみてください。
そして、ずっとやりたかったことの、一番小さな、一番簡単な第一歩だけをやってみませんか?
英単語を一つだけ覚える。 参考書を1ページだけ開く。 パソコンの電源を入れる。
それで十分です。
本当の情報は、スクリーンの向こう側にはありません。あなたが行動したその先に、待っています。
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